喜左衛門ブログ:President Blog

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2016年5月23日 (月)

中国からの友情あふれる「文化の贈り物」

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中国人は友を求め、その友情を生涯、大事します。

そのためには遠路をいとわず長旅をし、一方、「友、遠方より来る」と大歓迎します。
その時、友情を贈り物に託して、思いの深さを表現する風習があります。

ここ5年間に数多くの訪日研修団が弊社を訪問され、又、小生も招かれて訪中しました。
友情の証に頂戴した贈り物に中国人が大事にする「友情と文化」をひしひしと感じます。

【 1 まずは、「論語」です。
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この大きな重い木箱に入った論語を中国から土産に持ってきて頂きました。
中身は、竹簡(ちっかん)、虫メガネ、孔子像です。
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孔子像と、論語を彫った竹簡(ちっかん)です。
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孔子(BC552~479年、73歳で没)は、世界三大思想家(釈迦、キリスト、孔子)の一人と言われる偉人です。
孔子は2500年前に「儒教」を説き、君子(賢者)の生きるべき道を示しました。
日本では巻物にして経典や物語を残しますが、中国では数千年間保存できる竹簡(竹を短冊状にして編む)に漢字を彫って数千年先まで思想を残します。

【 2 中国人は書道を重要視しますが、王羲之(おうぎし、AD303―361年、58歳没)は「書聖」として崇拝されました。
唐の太宗にとても重用され、王羲之の行書はすべての書の模範とされ、後年、空海が中国に渡った時も、王羲之の書から大いに学びます。

中国の故宮博物院の秘宝の秘宝、「蘭序亭」(王羲之の書)で、その複製を頂きました。
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王義之の大きな文字、小さな文字、行書体の漢字がリズミカルに生き生きとしています。
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この巻物は中国のシルクで出来ています。

【 3 この扁額は、王羲之(1700年前)より76代目の王雲翔先生の書です。
この書は、中国人がとても大事する言葉です。
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「厚徳戴物」は、「地勢坤、君子以厚徳戴物」・・・大地があらゆる生き物を育むように、君子は人徳を高く持ち、義務を成し遂げる意・・・の一節です。
清華大学(習近平氏ら多くの偉人の出身校)の東門にもこの文言が刻まれています。
この扁額は、中国の名門、長江商学院(アリババの馬CEOなど、ビジネスマンを数多く輩出)の訪日研修団が来日の折に頂戴し、弊社の家宝となっています。
中国人はMBAコース(経営修士学)を取得し、プロ経営者を目指すのが最大の出世です。
「北京の長江商学院」と「上海の中欧国際工商学院」は中国の双璧のビジネススクールで、世界的に有名校ですね。

【 4 中国の思想家にもう一人の偉人がいます。
兵法家として名高い孫子(BC500年頃)です。
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この兵法書、漢字、英語が併記されており、1頁、1頁すべてシルク製品です。
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実は、この孫子の絹本は、浙江大学(北京大学、清華大学とならぶ名門)の陳教授から訪日の際に頂戴しました。陳教授とは上海以来、2回目の再会です。
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「ビジネスを志すもの孫子の兵法書を学べ」という陳教授の有難い思し召しです。

【 5 「台湾商人と近江商との交流会」の記念の交換文書です。
古代象形文字で「水魚の交わり」(竹本大亀先生の揮毫、日台の友好関係を表す)です。
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実は2013年に、台中の東海大学を日本の事業承継学会のメンバーとして訪台しました。
2015年には台湾の東海大学の研修団が訪日し、上記の交換文書はその時のものです。
その返礼に、2016年11月には、「NPO三方よし研究所」のメンバーで東海大学に行って台湾商人との再会をプランしています。(日本の東海大学とは関係ありません。)

【 6 】 上海の中欧国際工商学院(CEIBS)から頂いた記念の額
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2012年、事業承継学会の一員として上海の同学院を訪問・講演をしたご縁です。
2013年、上海から彼らは京都・五個荘までお越しを頂き、記念に頂戴しました。
大きな葉脈に墨で工商学院が描かれている精緻な工芸品です。

この上海の中欧国際工商学院で知り合った鄭州市(河南省の省都、中国最大の省)の経済団体の会長さんから講演依頼を受け訪中しましたら、講演前に鄭州と洛陽(隋、唐の都)を案内され、石窟寺院や白馬寺(中国で一番古い仏教寺院)を案内され、中国の5000年の歴史の源流がよく判りました。
中国人が我々異国人に対し、中国文明の恩恵を与えようとする「高徳戴物」の精神には感服しました。

「日本に学ぶ」中国人研修団」からのお土産も、中国からの強いメッセージ性(中華思想)をもち、中国の伝統的なDNAを感じるのは私の思い過ごしでしょうか・・・

・・・こぼれ話・・・
中国のある友人に「中国の研修団は世界のどこへ行っているの?」と尋ねました。
その答えは恐るべきものでした。
●アメリカ:テーマは金融とITです。ITの訪問先はグーグルとマイクロソフトです。
●日本:テーマは製造業、特にトヨタ自動車のカンバン方式だそうです。
おもてなし文化を学習するため、有馬温泉で日本式おもてなし術を体感して、レクチャーを受けた後、東京ディズニーランドを見学し自社に生かすのだそうです。
事業承継問題は、近江商人の「三方よし」が中国人の気質に合うようで、弊社にお越しを頂き、なんと五個荘まで来られます。その凄い吸収力には驚きます。
●イスラエル:5年先の社会とマーケットを展望し、100年先をみたユダヤの富豪の
人生観、世界観を学びます。
●ドイツ:欧州の覇者としての国家を見て、シーメンスなどのEUと世界へ進出するグロ-バル製造業の戦略を体感するのだそうです。

日本人よ、泰平の夢から醒めよ!!
中国人のリアリティから多くを学び、さらに飛躍しよう!!!