喜左衛門ブログ:President Blog

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2020年4月27日 (月)

「コロナと世界」・・日々の日経新聞一面に登場した四賢者

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4月の日本経済新聞を読んで、哲学者、医者、経営者の四名の賢者に共感しました。

◆まずは、哲学者の東浩紀さん(49歳)

【引用元:2020年4月14日付 日本経済新聞朝刊】
東浩紀さんのご意見(要約)
古来、人と人が集まってコミュニケーションを取ることは、「善」であった・・
今や、集まること自体が「いかがなものか?」と怪訝な目で見られリスクに変わった。
こんな経験はトラウマのように残る。

決まった作業や講義は、オンラインで代わりがきく。しかし新しいビジネスに挑戦するという創造的な仕事はテレワークでは成立するのだろうか?
ネットは同じような考え方をもった者ばかりが集まり、創造的な行為には欠かせない異質な存在や意見は排除されがちだ。
そもそも通信回線がパンクすればオンラインを前提にした仕組みは崩れてしまう。
1つのテクノジーに依存しすぎると、そのプラットフォーマー(運営者)に安易に操作されることになりかねない。
人と人が会わなければ社会は成り立たない。色々な立場の人と人が折り合いをつけるためにも、落としどころを探る役目を担うのは政治家の役目のはずだ。

・喜左衛門の愚論
さすがは哲学者。人類の幸せ、人間社会の本質をよく見ておられる。
只今、私の所属する社会活動(業界、NPO、地域活動など)はすべて止まり、課題解決や創造的なミーティングは先送りされ、WEBやテレワークなどによって即物的な仕事はスピーディに代替されつつあります。
人間社会は、人と人が場を同じくして熟議し、根本解決や創造的な話し合いが必要です。
これは生物として人間の根源的な欲求であり、社会の在り方の本質だと思うのです。
現状のテレワークやWEBやSNSに傾斜した世の中に大きな不安を感じます。

 

ノーベル賞(医学)の山中伸弥教授(京大、IPS細胞研究所長、58歳)

【引用元:2020年4月20日付 日本経済新聞朝刊】
山中伸弥さんのご意見(要約)
今は公衆衛生の危機に直面し一時の自由な行動を我慢しても社会を守らねばならない。
外出を厳しくしても死者が大きく減るまでには3か月かかる。
専門外(感染症)だが、終息には1年はかかるだろう。
有効なワクチンや治療薬が開発されるか集団免疫ができるかまで対策を続けるべきだ。
まずは、既存薬から有効な使えそうなものを探すが、臨床実験を経て本当に効くか統計学的に確認する必要がある。新型コロナに合わせた新薬も開発せねばならない。
生命科学の競争は非常には激しいが、データを公開して他と協力した研究者を評価する仕組みが欲しい、国際研究協力が大事だ。

・喜左衛門の愚論
山中さんのこの記事は半月前だが、よく感染の動向を見通しておられますね。
山中さんは、早速にIPS細胞で肺胞や心臓の細胞を大量に作り、ウイルスを感染させる実験を実践され、創薬のスピードアップに貢献されています。
医学者として、人類の危機に対しての認識と素早い行動に頭が下がります。

 

日本電産㈱CEOの永守重信さん(76歳、売上1兆5千億円のモーター世界一)

【引用元:2020年4月21日付 日本経済新聞朝刊】

永守重信さんのご意見(要約)
リーマンショックのときも「会社のために働こう」と言い続けた。
だが、今回は自分と家族を守りそれから会社だと。従業員12万人いるが人命にこれほど真剣に考えたことはない。
グローバル化はリスクを分散化するうえで重要だが、40か国に工場をもっているが、部品のサプライチェーンまで思いが至らなかった。猛省している。
メーカーとして、治療薬の開発にも国際協調が必要だ。
今は、「キャッシュ・イズ・キング」(現金は王様)。企業の買収価格も昨年の3割が下がっているにしても、現金の価値は5倍や10倍に高まっている。
アフターコロナは、テレワークをどんどん取り入れた劇的な社会的な変化が起きる。
サテライト・オフィスを作るなど、環境を抜本的に改善すべきだ。
50年間、自分のやり方が正しいと思ってきたし、テレワークも信用していなかった。
しかし、収益が一時的に落ちても、社員が幸せを感じる働きやすい会社にするべきだ。
コロナのこの期間は、反省する時間をもらったと思っている。

・喜左衛門の愚論
永守さんは自分に対して真っ正直、行動がビジネスマンらしく目的に向かって一直線。
永守さんは裸一貫からモーターの世界一の大企業に育てられました。
京都大学へ大きな寄付をされましたが、日本の大学に機械工学のモーター学科がないことを日頃から嘆いておられました。
ついに京都学園大学(京都府亀岡市)の理事長に就任され、巨額の資金投入により「京都先端科学大学」へ大学の名前を変え、未来の学問であるモーター(電気自動車)やバイオを新設されました。
永守さんの目線はドンドン上昇し、「銭もうけ」から、電気自動車やIoT(モノがインターネットでつながる)の「未来社会への貢献」へと進化しました。
経営者として、素晴らしいことですね!!

◆本日の日経新聞に登場のユニクロの柳井正さん(㈱ファーストリテイリングCEO、71歳)

【引用元:2020年4月27日付 日本経済新聞朝刊】
柳井正さんのご意見(要約)
「経済を殺さず抜本的な対策をとる」・・・ことに尽きる。
全国民をコロナ検査して、現状を全国民に告知し、出入国者の徹底検査をする。
一番の役割は困窮者を全員救済することだ。でも国からカネをもらう習慣ができてはいけない。政府は国民に何ができるか考えてほしいというべきだ。

日本企業の多くが国営企業みたいな意識になっていやしないか?
人工知能(AI)とかWEBとかはやり分野への意識が向きすぎた。
世界の良識や英知をもっと頼り、本業でどう貢献できるか考え、トップも本気でこの問題に対峙する。

一度止めた経済は立ち上げるのに時間がかかる。
ユニクロは中国の店舗の半数の340店舗を休業した。
ほぼ再開したが売上は以前の60-70%、長期間閉鎖した店舗に顧客は戻ってこない。
国際通貨基金(IMF)は、コロナの影響で世界恐慌(1929年)以来の不況になると予測しているが、実際はさらに悪くなるのではないか。
世界はつながり、いつ何がどこでおきてもおかしくない。
世界で連携してどうコロナと経済を根治するか議論を尽くすべきだ。

・喜左衛門の愚論
柳井さんと私は同年であり、尊敬する柳井正さん。ご意見はピタッと一致であります。
全国民へコロナPCR検査を実施、出入国者に徹底検査して国を開く、大賛成です。
コロナから命を守るのは最も大事ですが、経済が破綻すれば明日のパンは無くなり、日々の暮らしが壊れていきます。
本業をしっかり守り、時代にあわした変化が必要ですね。
頑張りましょう!!