喜左衛門ブログ:President Blog

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2023年11月27日 (月)

香港のビジネス散歩

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先週、4年ぶりに香港へ出張しました。
2019年2月の香港は学生運動が激化する中、中国政府の介入で沈静化する最中でした。
2019年12月頃からコロナが中国の武漢から発生し、翌年にはコロナが世界的へ大流行し2020年4月から日本では緊急事態宣言を発令し国を閉ざしてしまいました。
3年後、2023年3月には中国はゼロコロナ解除を宣言し、日本は2023年5月に第5類宣言をし制約を緩和しました。
それから半年後、今回は香港の金融、不動産をリサーチに出かけました。
キャセイパシフィック航空で関空から香港に到着です。

私は若い頃に香港へ毛皮ビジネスで出張し、通算百数十回、香港に行きました。
空港エクスプレスに乗って半時間、香港空港から香港島に到着です。

香港の街は相変わらず元気があります。

香港の証券・不動産屋の董事長(社長)や中国人メンバーと会ってヒヤリングするのです。
まず、中国経済の近況を伺うために中国本土に強い証券を尋ねました。
◆まず、香港と中国本土のカネの流れは・・・
サウスバンド(中国⇒香港)の株式の買いはドンドン膨らんでいます。
ノースバンド(香港⇒中国)の株式の買いは減少に転じています。
つまり、2023年初頭から中国の株価の下落でおカネは中国から香港に流れています。
中国の株価(香港ハンセン指数)は値下がりし、PERは9.7倍と割安状況です。

◆世界的なインフレの中で、中国だけはPPI(生産者物価)が4%下落、CPI(消費者物価)も0.2%下落しています。中国の不況感が厳しいですねぇ・・

◆自由都市の香港が中国化し、巨大商都である上海、ハイテクの深圳と比べて香港の存在価値は・・・・
香港には英国式の契約社会・法律が現存し、通貨も米ドルにペグ(リンク)する香港ドルを有しています。中国は外貨建ての債券の発行は香港を通じて行い、中国の外貨の獲得窓口とし香港の重要性は昔以上かもしれません。
だから中国は、香港で「1国2通貨の矛盾」(香港ドルは米ドルに寄り添う)を容認しています。

ファイナンシャルセンターに向かいました。

世界の金融機関が集中するセンターですが、1~2階はショッピングセンターになっており日本とは異なります。
大手証券会社を訪問しました。
◆注目のアジア株式のなかで中国経済の失調により日本株式が注目され、香港や中国のファンドは日本株式の購入に意欲的に動いています。
香港での金融会社の内、アメリカ勢は中米対立で中国国内での勢いを失い、欧州勢はゼロコロナ政策で本国へ帰国し反スパイ法の施行で香港に復帰しない企業もあります。
まさに日本の金融機関は、漁夫の利かもしれません・・・

◆中国企業の株価は、A株(中国国内で流通)とH株(香港で世界へ流通)を発行していますが、同じ株でもA株の方が高いのです。(現在で4割高い)
つまり、中国国内では投資対象は株式か土地しかないので、上場株式は投機対象として最適なのでどうしても株価は高くなります。一方、香港証券市場では中国の株価の評価は厳しく同じ株式の銘柄でも価格差が生まれます。

◆中国から個人で海外送金は一人当たり年間5万ドルに制限されており、現金送金は一人当たり1万ドル以下なら身分証明書で送金が可能です。

ホテルに帰りました。


今回は一人旅で、朝飯はバイキングでしっかり腹ごしらえをしました。

今日は「勤労感謝の日」(日本は祝日、香港は営業)、頑張るぞ!


ファイナンシャルセンター2期に来ました。

不動産屋さんで事情を伺いました・・・・
◆中国本土は恒大集団やカントリーガーデン(不動産開発業)問題の解決の見込みが立たず、ハードランディング(倒産して不動産価格が大幅ダウン)して早期解決を図るか、ソフトランディング(時間をかけ不動産会社が自力復活し中国経済の回復とともに不動産価格が持ち直す)するかですが・・・・
早く解決しないと「日本の失われた10年」の二の舞になりかねませんが・・・

◆中国人の不動産ニーズは、日本の収益物件に向いており、東京を中心に次は大阪へ中国のおカネが流入しており、中国の個人投資家は京都にも向いているようですね。

証券会社の動向は・・・
◆中国の資産家は、株式や不動産に対して「安全資産と利回り」を求めて、日本へおカネが大量に入っていますね。

◆特に超富裕層は香港や欧州におカネをたくさん持っており(中国政府の規制前に預金を移動した人たち)、分散投資をしていますが、一部は確実に日本へ向かっています。
証券会社にとって、超富裕層は重要な顧客でしょうね。

◆金融都市として、香港とシンガポールが激しく争っています・・・・
香港を拠点にする金融機関は、“バッグオフィス”(顧客のデータべ―スや資産口座)をシンガポールに移転する例が続いています。
しかしながら、香港とシンガポールでは、経済規模が香港の方が3倍大きく、営業の拠点はやはり香港においていますね。

香港のセントラルでは、大工事現場が活発に動いています。

香港島から見た対岸の九龍半島(香港)のビル群です。

昔ながらのスターフェリー(九龍半島のチムサッチ⇔香港島のセントラル)のシャトル便です。

タクシー乗り場はトヨタのタクシーが沢山走っています。

空港エクスプレスに乗って香港空港に向かいました。

空港の免税ショップはクリスマスセールですね♬

帰りは帰宅したら丁度、午前12時でした。
いやあ、少々くたびれた1泊2日の出張でした・・・